老人ホームや老人ホーム選びは決して簡単ではなく、即決すべきではありません。入居料、アメニティ、医療、面会ポリシーなど、入居前に考慮すべきことがたくさんあることを知らない人も多いので、きちんと調べておきましょう。
いずれにせよ、有料の老人ホームや介護施設にご入居される方にとっては、それは終の棲家を選ぶことにつながります。後悔しないように、徹底的にベストなオプションを選びたいものです。
この記事では、老人ホーム探しにまつわる情報を、ポイントに絞って解説していきます。
探し始める前にそもそも整理しておきたい条件や、かかる費用や資金の出所、立地やその施設ならではのサービス等、様々な目線で解説していきます。
老人ホームに入居の際、高い入居契約金を請求されることもあるので、慎重に吟味しなくてはなりません。きちんと段階を踏んで、条件が合うかどうか一つ一つ確かめながら進めていきましょう。
自分は何を求めているのか?希望する条件を把握しよう
老人ホーム選びにおいて、ただ単に費用や立地や見た目が希望に合うからといって単純な決め方をしてしまうと、後で後悔することにつながりかねません。多角的な面から、条件を吟味する必要があります。
基本的に吟味すべき条件と、自分の希望する条件を洗い出し、自分にとっての優先順位は何なのか、まずはきちんと把握しましょう。
1.初期・月々のコストはどれくらいかかるか
アパートを賃貸するように、老人ホームにも月額の家賃が発生します。受けるサービス内容によって、月額コストが変わってくることもあります。
またそれだけでなく、入居の際に多額の初期費用がかかることがあります。これは、アパート賃貸の際の礼金に似ていますが、希望する条件やサービス内容によって大きく変動することがあります。
今ご自身の手元にいくらあって、毎月いくらなら払い続けられるのか。そして、最大何年間その老人ホームに住み続けることになるのか、予算の計画を立ててみましょう。
また、ご自身で毎月の費用を払い続けられる見立てがないという場合や、生活保護を受けている場合は、自治体の担当窓口に相談してみてください。予算内で入居可能な老人ホームを紹介してくれるかもしれません。
2.介護サービスの内容の充実度
その老人ホームでは、ご本人が希望している介護サービスを提供してくれるか確かめる必要があります。
例えば、ご本人に病気や不自由な部分があれば、それをケアしてくれる人員がいるかどうか。スタッフは全部で何人いて、日中・夜間で何人配置されているか。また、入浴や排せつのサポート体制や、追加で費用はかかるのか、などといった点です。
3.施設の場所は条件に合うか
入居する施設の場所を検討する際、二つの視点から見る必要があります。
– ご本人が生活の場としてどうか
– ご家族が通う場としてどうか
• ご本人が生活の場としてどうか
入居するご本人が何を以って住みやすいと感じるかですが、静かな場所が良いのか、それとも街中のにぎやかなところが良いのか。また、周辺環境として一人で散歩できるような安全な道はあるのか、自分で買い物は行けるのか、通院しやすいかなども考える必要があります。遠出の際の、交通手段はどうなっているのかも重要な確認ポイントです。
• ご家族が通う場としてどうか
ご家族が週何回、老人ホームを訪ねるつもりかにもよりますが、平日にも行く予定でいるのであれば、ご家族の通勤・通学している場所からアクセスする際にかかる時間や、電車賃、最寄り駅から歩けるのか、もしくはバスやタクシーを使わなくてはならないのか。そして、車で通う場合は、家族用の駐車スペースが十分にあるかなどといった点を確認してみてください。
4.運営会社の信頼性
その老人ホームを運営している会社が、信頼のおける会社なのかも確認する必要があります。
終の棲家としようとしていた場所が、いきなり倒産してしまうなんてことは避けたいものです。民間企業の経営状態を見極めるのは難しいものですが、その企業の過去のニュースや、社長インタビュー、経営理念や、従業員の声など、集められる情報があったら集めておきましょう。
もし、現在入居している人やそのご家族に直接話を聞く機会があったら、積極的に確認しましょう。入居してみないと分からないことなどを、話してくれるかもしれません。
5.日常生活のサポートがあるか
日常生活においてどの程度の自由が効くのかも、知っておきたいポイントです。
外出や通院が必要な際の付き添いサポートや、買い物代行サービスなどを提供している施設もありますが、追加費用がかかることもしばしばです。
ご本人に何ができて何ができないのか、サポートが必要であればどの程度の頻度で、費用は足りるのかどうか、などについて把握しておきましょう。
6.イベントやリクリエーション、クラブ活動の有無
老人ホームは毎日を過ごす場所ですから、当然楽しく過ごしたいものです。
施設として、定期的なイベントや、体を動かすリクリエーション、他の入居者の方と一緒に趣味を楽しめるクラブ活動の機会などがあるかどうか、確認してみましょう。一方で、内向的な性格で人の集まる機会などが苦手な場合は、参加しないという選択肢があるのかというのも重要な確認ポイントです。
ご本人が続けたい趣味があれば、それがどの程度の範囲で続けられるのか。また、活動に参加することで追加費用がかかるのか等も確認しておきましょう。
7.医療・リハビリ体制が整っているか
ご本人の医療・リハビリのサポートとして今どんなものが必要か、どこまでを希望しているのか、それを施設内で受けられる機会があるのかについて整理しておきましょう。
老人ホームといっても、基本的に自分で身の回りのことをこなせる高齢者が入居する場所から、食事から排泄までフルサポートをしてくれる介護施設まで、色々あります。
リハビリにおいては、施設内に常駐で理学療法士などの機能訓練員がいるのか、リハビリは個人または集団で行うのか、どの程度の頻度で行うのかといった点を確認しておきましょう。
医療体制においては、看護師は何人いて常駐しているのか、どのような医療処置が施設内で可能か、どこの病院と連携していて連絡体制はどうなっているのか、緊急時はどのような対応をしてくれるのか。また、過去の緩和ケア実績や、看取り対応があるのかどうかも知っておきたいポイントです。
8.部屋や共有部分の設備の充実度や、清掃の頻度、清潔感
毎日を過ごす場所として、心地よいかという点を考慮する必要があります。
部屋のサイズや間取りはもちろんのこと、料理したい時に使えるキッチンはあるのか、トイレやお風呂は部屋内にあるのか共有なのか。また、心地よく眠るためにも隣の部屋との壁の厚さや騒音状況なども確認しておきたいものです。
また、全体として清潔感があるのかどうかも重要なポイントです。見学に行く際は、ゴミが落ちていないか、臭いはしないかなどを確認しましょう。また、どの程度の頻度で清掃が行われているのかも聞いておくと良いでしょう。
老人ホームの実際の選び方
自分の希望条件が整理できたら、いざ老人ホーム探しです!情報収集には様々な方法があります。
ホームページを見たり、パンフレットを請求したり、実際に見学に行ったりと、一つだけの方法に頼らず、多面的な方法で情報を集めましょう。意外と見落としていたことに気が付けるかもしれません。
• インターネットで検索
一番手っ取り早い方法が、インターネットで検索する方法です。
「老人ホーム 場所名」「老人ホーム 条件名」といったキーワードで検索してみましょう。
各老人ホームの公式ホームページの他、多くの老人ホームを比較できるまとめサイトなども、参考にすると良いでしょう。
• 自治体や地域の生活支援センター
自治体は老人ホームあっせん業者ではないので、個別に紹介してくれることはありませんが、地域の老人ホームをリスト化してくれていることがあります。
自治体のホームページを見たり、実際に足を運んで担当者に話を聞いたりしてみましょう。
• 現在介護を担当してくれている介護士に聞く
現在受けている介護ケアがあれば、介護士に話を聞いてみると良いかもしれません。介護士も民間の老人ホームの紹介業をしているわけではないので、全く知らないという人もいれば、情報通の人もいるでしょう。
介護士伝いで知り合いに聞いてくれるということもあるかもしれませんので、機会があれば声をかけてみましょう。
その他、老人ホームの紹介所に相談したり、ご家族が老人ホームに入っている知り合いがいれば、話を聞いてみると良いかもしれません。
ご自身の希望や条件をしっかり把握し、出来る限り情報を集め、後悔しない老人ホーム選びをしてください!
安い介護施設の見つけ方
1. 市区町村の担当窓口に問い合わせる
介護保険制度が導入されて以降、市区町村の担当窓口が設置されています。ここで、介護施設の情報を収集することができます。また、施設選びのアドバイスも受けることができますので、積極的に利用しましょう。
2. インターネットで情報を収集する
最近では、介護施設の情報がインターネット上で公開されていることが多くあります。特に、各施設のホームページを確認することで、入居費用やサービス内容を詳しく知ることができます。また、口コミサイトやレビューサイトも参考になるため、活用してみると良いでしょう。
3. 家族や友人のアドバイスを聞く
身近な人には、介護施設についての情報やアドバイスを聞くことができます。実際に入居経験のある人からは、リアルな情報が得られるため、参考になります。また、施設選びで迷った場合には、家族や友人と相談することも大切です。
4. 介護サービス比較サイトを利用する
介護サービス比較サイトを利用することで、複数の施設を一度に比較することができます。入居費用やサービス内容など、様々な情報を比較することで、自分に合った介護施設を見つけることができます。
5. 短期入所を利用する
短期入所を利用することで、介護施設の雰囲気やサービス内容を確認することができます。また、短期入所は、長期入居と比べると費用が抑えられる場合があります。そのため、安い介護施設を探す際には、短期入所も検討することをおすすめします。
6. 施設見学をしてみる
実際に介護施設を見学することで、その施設の雰囲気やサービス内容を詳しく知ることができます。見学は、無料で受け付けている施設が多いため、気軽に申し込んでみると良いでしょう。また、見学時には、費用面についてもしっかりと確認しておくことが大切です。
7. 入居条件を確認する
介護施設には、入居条件が設定されている場合があります。例えば、年齢制限がある場合や、介護度合いに応じて利用が制限される場合があります。入居条件をしっかりと確認しておくことで、余計な費用を抑えることができます。
8. 費用面について交渉する
入居費用が高額な場合には、費用面について交渉することもできます。介護保険制度が導入されて以降、介護施設の費用面について交渉することができるようになりました。交渉には、時間がかかる場合がありますが、費用を抑えることができる場合もありますので、積極的に取り組んでみましょう。
9. 入居費用の援助制度を利用する
入居費用の援助制度を利用することで、費用を抑えることができます。介護保険制度の中には、入居費用の一部を補助する制度があります。また、自治体によっては、入居費用の一部を負担してくれる制度もあります。制度を利用する場合は、申請の手続きが必要ですので、早めに取り組んでおきましょう。
まとめ
安い介護施設を探す際には、市区町村の担当窓口やインターネット、家族や友人のアドバイス、介護サービス比較サイトの利用、短期入所や施設見学、入居条件や費用面についての交渉、入居費用の援助制度など、様々な方法があります。これらの方法を活用して、自分に合った安い介護施設を見つけることができるでしょう。
しかし、安い施設を選ぶ場合には、サービス内容や施設の設備面についてもしっかりと確認しておくことが大切です。安いからといって、サービスが劣っていたり、施設の設備が悪かったりすると、入居後の生活がストレスになってしまいます。自分や家族が安心して生活できるよう、入念な調査と検討を行いましょう。